通貨選択型ファンドの「円選択型」は賢明な選択なのか

2012-02-09

 2010年のブームと比べれば落ち着きをみせているものの、通貨選択型ファンドには依然として個人投資家の人気があるようだ。

 ただし、通貨選択型ファンドで選択される通貨は、2010年までと2011年以降で大きな違いが見られる。2010年12月末時点の通貨選択型ファンドの通貨別純資産額と選択通貨別の純資産額比率は、以下の通りであった。

通貨コース 純資産額 比率
円選択型 3,585億円 5.1%
レアル選択型  4兆2,149億円 59.6%
その他通貨型 2兆4,473億円 34.6%

 一方、2011年末時点における通貨選択型の純資産額の比率は下記の結果となっている。

通貨コース 純資産額 比率
円選択型 6,565億円 8.0%
レアル選択型  4兆3,636億円 52.9%
その他通貨型 3兆1,933億円 38.7%

 「通貨選択型ファンド」には明確な規定がないため、上記データは通貨選択型と見られるファンドを集計したものに過ぎない。ただし、大きな傾向は見てとれる。

 傾向のひとつとして、ブラジルの通貨レアルの人気が落ち着いたことが挙げられる。そのほか通貨型の中には「資源国通貨型」というタイプがあり、この中にはレアルが含まれることが多いので、実質的にはある程度のレアル人気が継続しているといえなくもない。とはいえ、少なくとも2010年までの「レアルの一極集中」のは収まりつつあるようだ。

 もうひとつの傾向は、「円選択型」のニーズが増していること。2011年の外国為替相場では、円・ドルレートが2010年末の81円台から2011年10月に75円台まで達し、戦後最高値を更新している。その後は政府・日銀の円売り介入などがあったものの、長期での円高トレンドは直近においても変わっていない。

 このため、外貨変動リスクを避けたい国内投資家が、選択通貨として円を選んだと見受けられる。

 ただし、分散投資の原則からいえば、投資家のこの選択には疑問が残る。というのも、分散投資の基本は「通貨分散」にあるからだ。

 債券や株式への投資においては、どれだけ格付けが高く安全な投資先であっても、デフォルトリスクは残る。ただし通貨においては、どこかの国が上昇すれば、相手の通貨は下落するという相対的な関係にあり、投資先を分散すれば価格変動は平準化できる。それゆえに、生活のベースを日本円としている国内投資家は、海外通貨に投資をすることでリスクを分散できるのである。

 この意味では、せっかく海外資産に投資しているのに、通貨選択型で円選択型を選んでしまえば、リスク分散効果は半減する結果となる。

 もちろん、通貨変動に確固たる読みがあり、さらなる円高局面が訪れると考えている投資家ならば問題はない。ただ、海外債券の高利回りなどにひかれて投資をしていながら、「円高が心配だから」と円選択型を選んでいるとすれば、それは賢明な選択とはいえない面がある。

 欧米の経済状況や通貨変動に懸念があるのなら、一時的に国内資産を厚くしておく方法もあるし、リスクがあっても新興国の経済成長に投資したいのであれば、投資比率は落としつつも新興国の株式ファンドを選択するのも有効だろう。いずれにしても、当面は各自の投資戦略をしっかり見直したうえで、上手に投資先を配分することが大切になる。

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