日米で金融緩和継続の見方が強まる中、海外リートファンドに注目

2012-04-04

特定地域に偏らない、分散を心がけた運用をすべき

図1:グローバル分散型リートファンドと特定地域リートファンドの純資金流入額

図1:グローバル分散型リートファンドと特定地域リートファンドの純資金流入額

(出所)モーニングスター作成
※グローバル分散型リートファンドとは、モーニングスター類似ファンド分類「国際REIT・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」と「国際REIT・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」に属するファンド、特定地域リートファンドとはーニングスター類似ファンド分類「国際REIT・北米(為替ヘッジなし)」と「国際REIT・欧州(為替ヘッジなし)」と「国際REIT・アジア・オセアニア(為替ヘッジなし)」に属するファンド

 ここ数年、海外リートファンドは高い支持を集めてきました。最近はその人気も落ち着きつつありますが、各国が金融緩和継続の姿勢を見せる中で、再び注目を集めることが期待されます。図1の海外リートファンドの純資金流入動向をみると、2011年9月以降、特定地域に投資する海外リートファンド(特定地域リートファンド)は3,158億円の純資金流入となっているものの、グローバルに分散して投資するリートファンド(グローバル分散型リートファンド)は3,055億円の純資金流出となっています。ただ、海外リートファンドへの投資を考えるなら、投資対象地域や国を分散させたほうがリスクを抑えることができます。

 かつて、1980年代の日本、2008年頃のマカオ、ドバイなどでは不動産バブルとその崩壊が起きました。特定地域リートファンドへの投資はこうした局地的なバブルの被害を受ける可能性が高まります。実際、2012年2月末時点における3カ月間の最大下落率(期間別リターンについて、各月末を基準としたときの最小リターン)をみると、グローバル分散型リートファンドの平均値が▲35.68%となっているのに対して、特定地域リートファンド平均値は▲40.76%となっています。そのため、グローバル分散型リートファンドへの投資によって、国や地域の分散を図ったほうがよいでしょう。

配当利回りの高さがリートの魅力

図2:資産クラス別の利回り

図2:資産クラス別の利回り

(出所)モーニングスター作成
※1.2012年2月末時点
※2.米国リート=FTSE NAREIT All REITsインデックス分配利回り、
米国株式=S&P 500インデックス配当利回り、米国債券=米国10年国債利回り
日本リート=東証リート指数分配利回り、日本株式=TOPIX(東証株価指数)配当利回り、
日本債券=日本10年国債利回り

 では、高い人気を集めてきたリート本来の魅力とはなんでしょうか。それは、リート(不動産投資信託)の利回りが、債券や株式など他の資産クラスと比較して高い点にあります。図2をみると、世界で最もリート市場の規模が大きい米国では、リートの利回りは2012年2月末時点で4.43%となっている一方で、株式は1.71%、債券は1.97%となっています。日本においてもリートの利回りは5.47%なのに対して、株式が2.01%、債券が0.96%と、大きく上回っています。こうした傾向は日本や米国だけでなく、欧州やオーストラリアなど他の国においても同様です。また、長期的な推移をみても、世界のリートは株式や債券の利回りを上回って推移しています。

日米で金融緩和継続の見通し強まり、リートに追い風

図3:リート指数と各国国債利回りの推移

図3:リート指数と各国国債利回りの推移

(出所)モーニングスター作成
※米国債利回り=米10年国債利回り、欧州債利回り=欧州10年国債利回り、
日本債利回り=日本10年国債利回り、世界リート=S&Pグローバルリートインデックス(ドルベース)

 図3をみると、2008年9月にリーマンショックが起きてしばらくした後、2009年2月ころを境に世界のリート市場は上昇基調となっています。リートの上昇要因はサブプライム問題やリーマンショックによる下落の反動だけでなく、各国政府が金融緩和を強めたことが影響しているようです。多くのリートは資金を借り入れて、不動産へ投資しています。そのため、金融緩和によって金利が低下すると、支払い利息が減って運営コストが低くなり、リートの収益性は高まります。また、中央銀行が金融緩和策の一環として直接リートを買い上げたことや、金融市場に対して大量の資金供給を行ったことでリートのようなリスク資産に投資する余裕資金が生まれたことも上昇要因として挙げられます。また、直近では2011年後半から欧州の財政不安拡大などから軟調に推移したものの、欧州の財政不安が落ち着きを見せてきたことや各国の金融緩和政策が継続されたことなどが影響して、世界のリート市場は持ち直しています。

 このように世界のリート市場に影響を与える各国の金融政策は、現在、どのような展開となっているのでしょうか。例えば、日本では、2012年に入ってから日銀はインフレターゲットを導入し、一段と金融緩和を強める姿勢を打ち出しました。インフレターゲットとは、中央銀行が物価上昇率に対して目標を掲げて、目標を達成するように金融政策を行うことです。インフレターゲットの目標は消費者物価(CPI)が前年同期比プラス1%程度となることとされています。2012年2月時点の日本のCPIは0.30%となっており、今後も金融緩和策が継続すると想定されます。また、米国のCPIは目標水準並みとなっているものの、FRB(連邦準備制度理事会)のバーナンキ議長は雇用情勢も鑑みるとし、金融緩和継続の姿勢を示しています。同様に、欧州や中国などでも金融緩和策を維持する動きが見られます。このように、2012年に入っても日米を中心に各国で金融緩和を維持する姿勢を見せていることは、世界のリート市場にとって追い風となることが期待されます。

グローバル分散型リートファンドへの投資を検討

図4:グローバル分散型リートファンドの過去1年間のシャープレシオ上位5ファンド

図4:グローバル分散型リートファンドの過去1年間のシャープレシオ上位5ファンド

(出所)モーニングスター作成
※1.2012年2月末時点
※2.グローバル分散型リートファンドとは、モーニングスター類似ファンド分類
「国際REIT・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」と
「国際REIT・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」に属するファンド
※3.標準偏差とは、リターンのばらつきを表す指標で、大きいほどリスクが高い。
シャープレシオとは、リスクに見合ったリターンが得られているかを表す指標で、高いほど効率的な運用が行われている。

 図4は、グローバル分散型リートファンドの中で、運用成績が相対的に優れていたファンドを抽出したものです。「野村 インデックスF・外国REIT」と「eMAXIS 先進国リートインデックス」は「S&P先進国REIT指数(除く日本、配当込み、円換算ベース)」への連動を目指すパッシブファンドであり、相対的に安いコストで運用されています。「損保ジャパン・グローバルREIT(毎月分配型)」や「DIAM ワールド・リート・インカム(毎月決算)」は海外のリート運用会社などに再委託されて、アクティブに運用されるファンドです。これらを参考に、グローバル分散型リートファンドへの投資を検討してみてください。

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