積立投資には値動きの大きなファンドが効果的、新興国株式が威力発揮

2012-04-25

国内資産に偏った資産構成を改める視点を持つ

 古今東西、証券投資の世界では「分散投資」の重要性が不変のテーマとして語られています。2012年3月に発表された日銀の資金循環統計によると、日本の家計の資産構成は5割強の現預金と3割弱の保険商品等に偏っており、投資信託や株式など元本を割り込む可能性のあるリスク資産は合計で1割強にすぎません。投資教育の遅れや日本人の保守的な国民性などが預貯金偏重の背景にあるといわれていますが、その預貯金も間接的には「金融機関の国債購入原資」などに充てられています。つまり、私たちが資産防衛を意識して貯金をしても、国内資産の循環に回るということです。そもそも預貯金は、ローリスク・ローリターンの投資先であり、現状の国内金利の水準が続くと、老後資金など長期運用において十分なリターンが得られない恐れがあります。分散投資を検討する場合、配分比率は少なくてもリスク資産の保有を高めていくべきでしょう。ただ、リスクにも適正な対処法があり、積立投資によって投資タイミングの分散を図ることで、リスクは軽減されます。

 積立の考え方は、月々の所得等の中から資金を拠出していくという意味で、預貯金もファンドも何ら変わりはありません。同一の金融商品を一定の期間、一定額を買い付ける(これを「ドルコスト平均法」といいます)ことで、一定期間に一定口数を買い付ける方法より、ファンドの基準価額が下がった場合、一口当たりの購入金額を下げ、多くの口数を買い付けることが可能となります。

積立投資には下落局面で損失を均す効果がある

 では、ファンドに投資する場合、値動きの小さいファンドと値動きの大きなファンドのどちらが積立投資に向いているのでしょうか。結論からいうと、値動きの大きなファンドが積立投資に向いています。

 図表1は、国内債券型ファンドAに2012年3月までの5年間、月額1万円ずつ積立投資した場合と、5年前(2007年3月)に60万円(60カ月分)を一括投資した場合の元利金(トータルリターンを加味した投資金額)の月次推移です。図示されているように、当該ファンドは他の資産クラスに比べてボラティリティ(価格変動性)が低いので、積立投資よりは初期に一括投資したほうが複利効果をより活かしていることが確認できます。複利効果とは、最初の投資元本に利息が付くと、足し合わせた元利金が次の投資元本となり、これを延々繰り返すことで元利金が雪だるま式に積み上がっていく効果のことです。

図表1:過去5年間における一括投資と積立投資の比較
(国内債券型ファンドAのケース)

図表1:過去5年間における一括投資と積立投資の比較(国内債券型ファンドAのケース)

(出所)モーニングスター作成
2012年3月末までの5年間
基準価額を基に投資リターンをグラフ化

 一方、図表2では国際株式型ファンドの例として、比較的値動きの大きかった新興国株式ファンドBを取り上げ、図表1と同様に積立投資と一括投資の効果を比較しています。期間中は記憶に新しい2008年9月に発生したリーマン・ショックがあり、その影響を受けて直後の数カ月に基準価額が暴落しました。図示されているように、一括投資は2007年3月に60万円分を買い付けて一時は92万円台まで増えましたが、下方トレンドからリーマン・ショックを迎え、2009年1月には27万円台にまで下落。最終的には投資元本を割り込んでいます。一方、積立投資のほうはリーマン・ショックの影響を受けたものの、時間分散により損失が均され、一括投資に比べ軽微な下げにとどまりました。その後の回復局面での積立が元利金回復に寄与し、2011年9月時点で一括投資の元利金を抜き去り、最終的には約5万7,000円のリターンを上げました。このように、値動きの大きい金融商品ほど積立投資の強みが活かされています。

図表2:過去5年間における一括投資と積立投資の比較
(新興国株式ファンドBのケース)

図表2:過去5年間における一括投資と積立投資の比較(新興国株式ファンドBのケース)

(出所)モーニングスター作成
2012年3月末までの5年間
基準価額を基に投資リターンをグラフ化

積立投資を活用したインデックスファンドが人気

 これまで述べてきたように、積立投資は時間分散により相場の下落局面では損失を極小化することができるので、値動きの大きなファンドに投資する際にその強みを発揮します。

 他方、近年では新興国株式など海外資産を中心としたインデックスファンドに積立投資の資金が集まっている傾向があります。

 MSCIエマージング・マーケット・インデックスなどの株価指数に連動した値動きをするインデックスファンドは、アクティブファンドに比べて相対的に信託報酬等のコストが低いという特徴があります。指数連動のためインデックスファンド間の運用成績に極端な差はありませんが、一部のファンドでは信託報酬の引き下げが始まっており、今後はコスト面での魅力が焦点になってくるものと思われます。

 図表3は、主要の新興国株式インデックスファンドの2012年3月末までの6カ月間のトータルリターン、信託報酬等、同月末時点の純資産額を一覧にしたものです。積立投資を念頭に置いたファンド選びにお役立てください。

図表3:主な新興国株式インデックスファンドの過去6カ月間の各種データ

図表3:主な新興国株式インデックスファンドの過去6カ月間の各種データ

(出所)モーニングスター作成
2012年3月末時点
カテゴリーは「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」でアクティブファンドを含む

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