ブル・ベアファンド徹底解剖 ― 短期で勝負、下落相場でも利益を追求

2012-05-07

I ブル・ベアファンドとは?

 株式や為替などの相場状況を表す際には様々な言葉が用いられます。その中でも相場の上昇、下落には、ブル、ベアと動物になぞらえて表現されることがあります。ブルは雄牛、ベアは熊という意味で、雄牛が攻撃時に角を振り上げる様相を上昇相場に見立ててブル型、逆に熊が腕を上から下に振り下ろして威嚇する姿を下落相場としてベア型とされています。投資信託にも、ブル・ベア型という種類のファンドがあり、投資対象資産が値上がりする際にその値上り幅以上の利益が期待できるファンドをブル型、反対に投資対象が値下がりする際に利益がでるように設計されたファンドをベア型といいます。投資対象となる指数は、日経平均株価などの国内株価指数、海外の株式指数、国内債券や海外債券、為替など世界中のマーケットに及んでいます。

 株式や債券などを投資対象資産とするブル・ベアファンドの多くは、インデックスなどの先物やオプションを利用して運用するため、他の投資信託にはない2つの特徴があります。

(1)上昇相場でも下落相場でも、ブル・ベアファンドを利用すれば利益獲得のチャンスがある。
(2)レバレッジ効果(てこの原理)により、投資対象の2〜3倍の値動きとなる投資成果を目標とできる。

 国内の追加型公募株式投信のブル・ベア型ファンドには、「国内株式」、「米国株式」、「新興国株式」、「国内債券」、「米国債券」、「円・米ドル為替」、「円・ユーロ為替」、「円・豪ドル為替」など、様々な資産クラスを投資対象とするものがあり、2009年後半からは商品指数連動する「コモディティ」にもブル型・ベア型も登場しました。図1では2007年と、2012年のモーニングスターの分類によるブル・ベア型ファンドにおける資産種類の純資産額を示しています。2012年3月末時点で、ブル・ベアファンドの純資産額のうち約8割%が株式のブル・ベアファンドで、そのうち5割以上が国内株式を投資対象として運用されるブル型ファンドとなっています。また、新興国株式のブル型ファンドはボラティリティが高いためか純資産額は減少傾向となったものの、国内債券のベア型では2010年1月以降、一定の純資産額を維持して推移しています。また、図2の2012年3月末までの過去6カ月間の1ヵ月リターンの推移をみると、株式ブル型が2011年11月を除く全ての月でプラスのリターンと好調な展開となっていたことが伺えます。

図1:ブル・ベアファンドにおける資産種類の純資産額比率推移

図1:ブル・ベアファンドにおける資産種類の純資産額比率推移

(出所)モーニングスター作成
「その他」は、債券ブル、為替ブル・ベアのファンドを含む

図2:ブル・ベアファンドの資産種類別の1ヶ月リターン
(2012年3月末までの過去6カ月間)

図2:ブル・ベアファンドの資産種類別の1ヶ月リターン (2012年3月末までの過去6カ月間)

(出所)モーニングスター作成

II ブル・ベアファンドを上手く利用する

(1)相場の予想を活かすことで、上昇相場でも下落相場でも利益獲得のチャンスがある。

 ブル・ベアファンドというと、レバレッジを効かせたハイリスクな投信というイメージがあります。ただ、ベア型ファンドの中には、レバレッジを効かせずに投資対象資産の値動きが下落することでリターンの拡大を目指すファンドもあり、下落相場においても利益の追求が可能となります。相場の短期的な調整を自ら予想する場合や、相場が短期間で大きく上昇し過熱感が出た際など、ベア型ファンドへの投資は有効な手段となります。

 図3では、日本の株式市場の変動率のマイナス1倍、価格変動率が株価指数の反対となるよう設計されたベア型ファンド「(日本トレンドS) リバース・トレンド」と、日経平均株価指数との値動きを1995年1月から指数化してグラフ表示しています。当ファンドを購入することで、レバレッジなしのショート・ポジションが構築できるため、過去17年間の日経平均と逆相関の動きの中では、短期的なプラスのリターン局面を多く提供してきたことが伺えます。

図3:日本の株式市場の下落で利益を追求できる
「(日本トレンドS) リバース・トレンド」の値動き

図3:日本の株式市場の下落で利益を追求できる 「(日本トレンドS) リバース・トレンド」の値動き

(出所)モーニングスター作成

(2) レバレッジ効果により、投資対象の2〜3倍の値動きとなる投資成果を目標とできる。

 レバレッジを効かせたブル・ベアファンドを利用することで、投資対象資産の値動きの1倍以上の投資成果を狙うことができます。レバレッジ倍率が高くなるとそれだけ、価格変動幅が拡大するため変動リスクが高くなり、利益も損失も大きくなるという特徴がありますが、ブル・ベアファンドのレバレッジ倍率は、FX(外国為替証拠金取引)などのレバレッジ倍率とは異なりせいぜい2〜3倍のファンドが主流となっています。

 図4は、国内株式市場の値動きに対し、2倍程度の変動率を目指す「(日本トレンドS) ハイパー・ウェイブ」の値動きをリーマンショックの前後で指数化し、資金流入(購入)と資金流出(解約)をグラフで表しました。このファンドは、前述で紹介した「(日本トレンドS) リバース・トレンド」と「日本トレンド・セレクト」シリーズを構成する3ファンドのうちの1つで、スウィッチング手数料がかかるものの、いつでもファンド間のスウィッチングを行なうことができます。当ファンドの運用成績をみると、1995年から2012年3月末までの設定来リターンは▲89.07%となっていますが、同月末までの過去6ヵ月間のトータルリターンは34.72%、特に過去3ヵ月間では44.08%と良好なパフォーマンスとなっています。

図4:リーマンショック後(2008年9月末〜2009年9月末)の
「(日本トレンドS) ハイパー・ウェイブ」の値動き

図4:リーマンショック後(2008年9月末〜2009年9月末)の「(日本トレンドS) ハイパー・ウェイブ」の値動き

(出所)モーニングスター作成

 2008年9月のリーマンショック直後、日経平均株価の下げで当ファンドの基準価額(右軸)が大幅に下落した局面では、購入により資金流入額が増加し、2009年3月や7月の基準価額の上昇局面では利食いの資金流出額の増加が伺えます。

 レバレッジの効いたブル・ベアファンドについては、基準価額の変動リスクが実際の投資対象資産の変動リスクよりも高くなり、相場が一方向のみの動きが続かない限り相場が上下に振れることで変動率に乖離が出るなど長期投資には不向きな側面があります。

 ただ、こういったブル・ベアファンドの特徴をしっかと踏まえ、上手く付き合えば、上昇相場でも、下落相場でも利益を得るチャンスを逃がすことなく、レバレッジを効かせた醍醐味のある投資も可能となります。

 ブル・ベアファンドは、決して資産運用の中核となる金融商品ではありませんが、長期投資による資産運用の傍らで、ご自身のリスク許容範囲に応じた一部の資産で、短期売買のリターン獲得も検討しては如何でしょうか。 もちろん、レバレッジ倍率の高いファンドは、あくまでも慎重な対応で投資に臨んでください。

参考銘柄

ファンド名 信託報酬等
(税込)%
純資産額
(百万円)
トータルリターン
6カ月
SBI 日本株トリプル・ブルベア(ブル) 0.98 1,700 51.49%
SBI 日本株トリプル・ブルベア(ベア) 0.98 587 -42.25%
(日本トレンドS) リバース・トレンド 0.97 1,449 -15.72%
(日本トレンドS) ハイパー・ウェイブ 0.97 12,941 34.72%
日本債券ベア 0.56 5,577 -2.95%
楽天 日本株トリプル・ブル 0.98 4,918 50.96%
楽天 日本株トリプル・ベア 0.98 1,245 -42.23%

(出所)モーニングスター作成
2012年3月末基準

参考コメント:「ブル・ベアETF」について

2012年4月初旬、日本初のブル・ベア型のETF(上場投資信託)が、「ブル・ベアETF」として東証と大証に上場されました。

東京証券取引所
(1568)TOPIXブル2倍上場投信
(1569)TOPIXベア上場投信

大阪証券取引所
(1570)日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信
(1571)日経平均インバース・インデックス連動型

 ブル型のETFは、日経平均株価やTOPIXなどの株価指数の変動率の2倍の価格変動率となるように設計され、ベア同株価指数の変動率のマイナス1倍、変動率が株価指数の反対となるよう設計されたものです。

 追加型株式投信のブル・ベアファンドと比較すると、ブル・ベアファンドには取引時間に制限を設けているファンドが多いものの、「ブル・ベアETF」は、上場株式の取引時間内であれば自由に売買でき、販売手数料ではなく、株取引の手数料で取引できます。投資対象資産のバリエーションは少ないものの、今後の動向は要チェックです。

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