高分配で下値不安が少ない国内リートファンド

2012-05-24

日銀の追加金融緩和により、J−REIT市場の下値不安は少ない

 5月以降、欧州諸国の政局混迷やギリシャのユーロ脱退などへの懸念から、国内外の株式市場は調整色を強めており、月初から18日までにTOPIXは9.79%の下落、NYダウも6.49%の下落を記録しています。そのような中、国内の不動産投資信託(J−REIT)市場も少なからず影響を受けており、東証REIT指数は5.64%の下落となりました。ただ、株式に比べるとその下げ幅は相対的には小さく留まっています。

 その理由には日銀の追加金融緩和が考えられます。4月の金融政策決定会合で日銀はJ−REITの買入金額を1,100億円から1,200億円に増額することを決定しています。つまり、日銀が市場環境に応じて、J−REITを1,200億円まで購入する可能性があるということで、これがJ−REIT市場の下値を支えています。実際、日銀がJ−REIT買い入れを決定した2010年から、日銀は市場の不透明感が強まった際にJ−REITの買い入れを実施しています(図表1参照)。また、依然として買い入れ余力(4月末時点で439億円)を残していることから下値不安は少ない。

図表1:東証REIT指数(配当込み)と日銀のJ−REIT買い入れ額

図表1:東証REIT指数(配当込み)と日銀のJ−REIT買い入れ額

4年半ぶりにJ−REITが上場、市場拡大に期待

 しかし、昨今のJ−REIT市場は2007年5月をピークに時価総額は減少しており、現在ではピーク時の半分程度の時価総額となっています(図表2参照)。また、上場銘柄数も徐々に減少する傾向がみられます。しかし、2012年はこれまでの傾向とは異なる可能性があります。

 4月26日、「ケネディクス・レジデンシャル投資法人」が東京証券取引所に上場し、2007年10月の「産業ファンド投資法人」以来、約4年半ぶりの上場で話題となりました。今後も大和ハウス工業、東急不動産がJ−REITの上場を計画しており、市場拡大に伴ってJ−REIT市場の堅調な推移が期待されています。

図表2:J−REITの市場規模と上場銘柄数

図表2:J−REITの市場規模と上場銘柄数

割安な水準にあるJ−REIT

 日銀による下支えと市場拡大が期待されるJ−REITですが、現状の水準は割安なのでしょうか? 2012年4月末時点のJ−REITの配当利回りと海外REITの配当利回りを比較すると、豪州やフランスより若干低いものの、米国や英国を1%以上上回っています(図表3参照)。さらに、J−REITの配当利回りは10年債利回りとの差も大きく、他国に比べて魅力的な水準にあると言えます。

 また、過去のJ−REITの配当利回りは、国内株式の配当利回りや国内債券の利回りと比べて相対的に高水準にあります。例えば、イールドスプレッド(東証REIT指数配当利回り−10年債利回り)をみると、2008年の金融危機時ほどではありませんがイールドスプレッドは過去に比べて拡大しており、割安感があります(図表4)。

図表3:J−REITと海外REITの配当利回り

図表3:J−REITと海外REITの配当利回り

図表4:東証REIT指数(配当込み)とイールドスプレッド
(J−REITの配当利回り−国債の利回り)

図表4:東証REIT指数(配当込み)とイールドスプレッド(J−REITの配当利回り−国債の利回り)

相対的に高い分配金利回りが期待できるJ−REITファンド

 J−REITは配当利回りが魅力的であり、割安な水準にあることを説明しました。しかし、個別のREITへの投資は、増資により配当が薄れてしまうリスクや、REIT自体が倒産するリスクなど様々なリスクを有しています。そのため、個別のREITの状況に詳しい投資家であれば、選別投資が可能ですが、時間や手間を考慮するとJ−REITへ分散投資する「J−REITファンド」へ投資することも一つの手です。

 特に分配金を重視する投資家には「J−REITファンド」の高い分配金利回りは大きな魅力の一つとなるでしょう。「J−REITファンド」の分配金利回りとその他の資産を主要投資対象とする分配金利回りを比較してみると、「J−REITファンド」の分配金利回りは相対的にみて、高水準となっています。信用力の低い債券へ投資する「ハイイールド債券ファンド」と比較すると、相対的に低水準となりますが、「グローバル債券ファンド」、「グローバルREITファンド」よりも高い分配金利回りが期待できます。

図表5:J−REITファンドと主要ファンドの分配金利回りの平均値の比較

図表5:J−REITファンドと主要ファンドの分配金利回りの平均値の比較

 また、「J−REITファンド」は高利回りの海外ファンドと比べて、為替変動リスクがない点も魅力となります。投資対象となる「J−REITファンド」にはアクティブ型、インデックス型があり、手数料が気にかかる方であれば、インデックスファンドやETFへの投資を検討されても良いかもしれません。

代表的なJ−REITファンド

代表的なJ−REITファンド

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