「通貨選択型ファンド」から「リートファンド」を検討しては

2012-06-04

 通貨選択型ファンドを購入して、手痛い目にあっている投資家の方も多いでしょう。通貨選択型ファンドで人気の高い、ブラジルレアルなどの通貨が大きく下落しているためです。そのため、月次の純資金流出入動向をみると、2012年に入って通貨選択型ファンドでは純資金流出となる月も出てきました。通貨選択型に投資した投資家が分配金を重視するなら、運用成績が好調なリートファンドを検討すべきでしょう。

1.リスク高く、運用成績芳しくないレアルヘッジ通貨選択型ファンド

 2012年4月末時点で、ブラジルレアルで為替ヘッジする(以下、レアルヘッジ)通貨選択型ファンドは純資産額で4兆3,861億円となっており、通貨選択型ファンド全体の50%近くを占めています。ただ、過去1年間でブラジルレアルは▲17.87%と、大きく下落しています。また、ブラジルレアルに次いで、人気の高かった豪ドルは▲5.97%、南アフリカランドは▲16.08%となっています。同期間、モーニングスターカテゴリーの平均と比較すると、ブラジルレアルで為替ヘッジする通貨選択型ファンドのトータルリターンは、概ねカテゴリー平均を下回っています。

 同期間、レアルヘッジ通貨選択型ファンドはリスクも高くなっています。例えば、ハイイールド(高利回り)債券ファンドの標準偏差(リターンのばらつきを表す指標で、大きいほどリスクが高い)は、平均して19.99%となっているのに対して、ブラジルレアルで為替ヘッジするファンドだけの平均値のみで28.03%となっています。他の資産クラスでみても、ブラジルレアルで為替ヘッジするファンドの標準偏差は概ね高い傾向にあります。

図1:為替レート推移
(2011年4月末=100)

図1:為替レート推移(2011年4月末=100)

2.純資産額上位では資金流出が続く

 このため、2011年後半から通貨選択型ファンドへの純資金流入額が減少しています。2012年に入って、その傾向はより強くなり、2012年2月には純資金流出に転じる場面もありました。すでに多くの資金を集めている純資産額上位ファンドを中心に、純資金流出が進んでいます。「野村 G・ハイ・イールド債券(資源国通貨)毎月」は一時期、全ファンドの中で純資金流入額でトップとなったこともあったものの、2012年の年初来で純資金流出額ワースト2位となっています。そのため、既に保有している投資家の中には、乗り換えようとしている人もいると推測されます。

図2:通貨選択型ファンドの純資金流出入額の推移

図2:通貨選択型ファンドの純資金流出入額の推移

3.分配金を考えて、レアルヘッジ通貨選択型ファンドからリートファンドに

 こうした中、通貨選択型ファンドを保有している投資家の方が乗り換えを検討するならば、リートファンドへの投資を考えてみても良いでしょう。通貨選択型ファンドを購入した投資家のニーズは分配金にあると思われます。分配金ニーズを満たしつつ、乗り換えたいと考えているならば、分配金利回りが高いファンドが多いリートファンドは有望な選択肢の一つとなるでしょう。2012年4月末時点で、モーニングスターカテゴリー別に分配金利回りを比較すると、米国などの特定地域のリートに投資するファンドの分配金利回りは10.57%、日本を含む世界のリートに投資するファンドは7.58%、国内リートへ投資するファンドは6.37%と、それぞれ上位に入っています。

4.分配金利回りだけでなく年初から堅調に推移

 また、分配金利回りだけでなく年初来の値動きも良好なものとなっています。世界的に金融緩和策が進められる中、他の資産クラスと比較して、国内及び海外のリートファンドの値動きは良好です。2012年4月末時点における年初来のトータルリターンは、国内リートファンドが19.11%、海外リートファンドが17.17%と大きく上昇しています。各国の金融緩和政策の影響のほか、米国リートの決算内容が良好だったこと、増配を発表するリートが相次いだことなどが影響しています。

図3:資産クラス別の年初来の推移

図3:資産クラス別の年初来の推移

5.堅調に推移するリート、「利回り差」からみると

 このように、上昇してきたリートですが、まだ割高感はないようです。リートの評価にあたっては、リートの分配金利回りと国債の利回りの差が割安感を測るための指標として重視されます。リートと10年国債の「利回り差」を比較することで、割安か割高かを判断します。利回りの差が大きいほど割安な水準と見られます。

 米国リートを例にすると、2012年4月末時点でリートと米国10年国債の「利回り差」は2%程度となっています。「利回り差」の推移をみると、2006年から2007年前半まではリートの利回りは米国10年国債よりも低い水準でしたが、サブプライムショックが起きた2007年後半頃に逆転しました。その後、2008年にリーマンショックが起きて、利回り差はさらに拡大しました。2009年以降は市場の落ち着きとともに縮小しました。2011年後半以降、直近までの推移をみると、上記のように先進国の金融緩和策、そしてリートの好決算、増配の影響で、再び「利回り差」は再び拡大しました。今後、2006年頃の水準まで戻すかは分かりませんが、2011年4月末時点の「利回り差」が0.80%だったのに対して、2012年4月末時点は2.29%と、割安な水準ではあります。以上のように米国を例にみてきましたが、リートは上昇しているものの、過大に割高な水準ではなさそうです。

図4:米国リートの値動きと利回り格差

図4:米国リートの値動きと利回り格差

 そのため、分配金利回りを重視するなら、リートファンドは有望な選択肢の一つかも知れません。そこで、最後に純資産額規模の大きい一部のリートファンドを紹介しておきます。それぞれ、米国のみに投資するファンド、先進国に分散投資するファンド、国内のみに投資するファンドとなっています。是非、参考にしてください。

図5:純資産額規模の大きい一部のリートファンド

投資対象 ファンド名 トータル
リターン
3年
(%・年率)
シャープ
レシオ
3年
分配金
利回り
(%)
純資産額
(百万円)
米国リート フィデリティ・USリートB(為替ヘッジなし) 24.96 0.96 21.54 512,422
グローバルリート ワールド・リート・オープン(毎月決算型) 16.65 0.84 20.23 445,897
国内リート MHAM J-REITインデックスファンド(毎月) 10.21 0.57 11.46 36,025

2012年4月末時点
出所:モーニングスター作成

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