「新興国ファンド・レポートツアー第一弾」BRICsの魅力を再考する

2012-07-30

 2001年にBRICsという言葉が世に出てから10年以上経ち、世界経済におけるBRICs各国の存在感は大きく飛躍しました。このため、BRICs株式市場への投資の意味も変化しています。以前から言われているようにBRICsのような新興国株式への投資は、新興国経済の成長の恩恵を得ることに魅力があります。ただ、現在、BRICs株式は「成長性が魅力の投資対象」から「海外株式投資において必ず検討すべき投資対象」に変化しつつあるかもしれません。

1.世界経済の中で位置づけ変わるBRICs、「成長の享受」から「欠かせない存在」へ

 BRICs株式へ投資する魅力は、BRICs各国の高い経済成長を享受することにあると言われています。実際、BRICs各国では今後も引き続き高い経済成長が見込まれています。中国の実質経済成長率(※)は、10年前の2002年は9.08%、それに対して2012年は8.23%と見込まれています。同様にインドは4.56%(2002年)に対して6.86%(2012年)、ロシアは4.74%(2002年)に対して4.01%(2012年)、ブラジルは2.66%(2002年)に対して3.03%(2012年)となっています。世界的に景気が好調だった2004年〜2007年頃には及ばないものの、BRICsという言葉が世に出たばかりの約10年前に近い水準を維持しています。

 ただ、世界経済規模の観点から比較すると、BRICs各国の存在感は大きく変化しています(図1参照)。約10年前の世界の名目GDP合計額に対するBRICs各国のシェアは8%前後だったものの、2012年は19.8%にまで拡大すると推定されます。これは、日本や欧州主要国を大きく上回り、米国(21.7%)に近い水準となります。つまり、BRICs株式は経済成長を享受するということに加えて、海外株式への投資を考えるうえで必ず検討すべき投資対象となってきていると言えるでしょう。

図1:BRICsの名目GDPの世界シェア推移

図1:BRICsの名目GDPの世界シェア推移

2.中国、インド、ブラジル、ロシア、それぞれの魅力

 それでは、BRICs各国はそれぞれどのような魅力があるのでしょうか?

 まず、中国は世界第2位となる経済規模を誇ります。最近は景気減速が懸念されているものの、内陸部が今後、大きく成長するものと期待されています。また、インドは新興国の中でも若年層が非常に多く、2012年時点で24歳以下の人口が全人口の47.5%を占めています。そのため、今後、さらなる労働力及び消費の拡大が想定されます。ロシアはBRICs4ヵ国の中で最大の資源国であり、石油生産量は世界シェア12.8%(2011年時点)で、第2位となっています。また、ブラジルは大豆やコーヒーなどの農産物の鉄鉱石の輸出では世界トップクラスです。加えて、中間層の拡大が続くとともに、サッカーワールドカップやオリンピックなどのイベントに向けたインフラ整備が進んでいます。このようにBRICs各国は異なる特性を有していることから、合わせて保有することで様々な局面で経済成長の恩恵を享受することができるでしょう。

 次に、BRICs各国の株価水準に目を転じると、各国の主要株価指数の予想PER(株価収益倍率※)は2012年6月末までの過去5年間の中ではいずれも低い水準となっています。過去5年間の各国のPER水準について、リーマンショックの影響を受けた期間を除いてみると、中国は概ね10倍〜30倍、同様にインドは13倍〜30倍、ロシアは5倍〜14倍ブラジルは9〜15倍程度となっています。2012年6月末時点の予想PERは、中国が9.77倍、インドが15.15倍、ロシアが5.49倍、ブラジルが9.79倍となっており、概ね低い水準となっているようです。

 また、各国の名目GDPと株式市場の時価総額の世界シェアをそれぞれ比較すると、各国とも概ね名目GDPよりも時価総額の世界シェアが低いようです。各国の株式時価総額は資本市場が整備されていないこと加えて、経済成長の恩恵を各国の株式市場の上場企業だけが享受するわけでないといった要因などから、経済規模に比べて出遅れているようです。ただ、各国の株式市場の発展に伴い、経済規模と時価総額のギャップが縮小される可能性も考慮すべきでしょう。

※PER(株価収益率)=株価と一株当たり当期純利益を比較した指標。低いほど割安と判断される。
中国=上海総合指数、インド=SENSEX指数、ブラジル=ボベスパ指数、ロシア=RTS指数

図2:BRICs各国の魅力

図2:BRICs各国の魅力

3.BRICsへ分散投資するファンドの組み入れで、ポートフォリオを調整

 上記を踏まえて海外株式への分散投資を考えると、BRICs各国の名目GDPや株式市場の時価総額規模の比率を考慮しつつ、自らのポートフォリオへBRICs株式を組み入れる必要があるでしょう。そこで、BRICs株式に投資するファンドを利用して、BRICs株式の保有比率を調整してみてはいかがでしょうか。

 実際にBRICsの株式市場へ分散投資することができる主要なファンドは図3の通りです。いずれもアクティブファンドですが、各国の組入比率については、時価総額やGDPの規模など異なる基準をもとに決定しています。モーニングスターレーティングをみると、JPM・BRICS5・ファンド 『愛称:ブリックス・ファイブ』やシュローダー BRICs株式ファンドなどのパフォーマンスが相対的には良好なものとなっているようです。こうしたファンドを中心に海外株式投資の戦略を考えてみてはどうでしょうか。なお、JPM・BRICS5・ファンドは一部に南アフリカ株式も組み入れている点には留意してください。

図3:BRICsファンドの一覧

ファンド名 運用会社 純資産額
(百万円)
MSレーティング
JPM・BRICS5・ファンド JPモルガン 61,387 ★★★★
日興 BRICs株式ファンド 日興アセット 27,269 ★★
シュローダー BRICs株式ファンド シュローダー 23,171 ★★★
HSBC BRICsオープン HSBC 16,985 ★★
グローバル・アンブレラUBS BRIC UBS 6,702

出所:モーニングスター
2012年6月末時点

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