毎月分配のレアル債ファンド、慎重な投資スタンスを

2012-12-03

 超低金利が続く中、高利回りが見込めるファンドが根強い人気を誇っています。ブラジルレアル建て債券ファンド(以下、レアル債ファンド)もその1つ。高い金利水準、サッカーワールドカップや五輪開催を起爆剤とした景気拡大、内需と資源の2大エンジン――そんな「セールストーク」で販売されるファンドですが、実は今年、パフォーマンス面で受難続きの状況です。景気は回復に向かうのか、それとも低迷を続けるのか。岐路に立つブラジルのレアル債ファンド、その投資妙味を検証します。

毎月分配型に資金流入、リターンはさえず

 まず資金動向を確認してみましょう。ブラジル中央銀行が昨年8月から利下げ局面入りし、それに伴いレアルも下落したことを受けて、レアル債ファンドは翌9月に資金流出超に転落。しかし利下げやレアル安を嫌気した流出は7カ月で終わり、今年4月以降は再び資金流入超が継続しています(図表1)。

図表1:レアル債ファンドの純資金流出入の推移

図表1:レアル債ファンドの純資金流出入の推移

 ブラジル中銀は10月に10会合連続の利下げを実施。市場ではこれで利下げ打ち止めとみる向きが多く、景気は低迷期を脱したとの見方が大勢ですが、ファンドのパフォーマンスは全般的に好調とは言えません。実際にレアル債ファンドの純資金流入上位を見ても(図表2)、過去1年のリターンは最も高い「ブラジル公社債ファンド」が3%台になったのを除けば、小幅なプラスかマイナスにとどまっています。リターンの抑制要因として挙げられるのはレアル安・円高。足元ではやや円安に傾きましたが、依然としてリーマン・ショック直後に並ぶレアル安・円高水準が継続しています。

図表2:レアル債ファンドの純資金流入ランキング

ファンド名 純流出入
(百万円)
1年リターン 分配金利回り
(%)
新光 ブラジル債券ファンド 6,610 -6.70% 22.7
ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型) 3,204 0.60% 17.6
りそなブラジル・ソブリン・ファンド(毎月) 1,931 0.67% 18.1
ブラジル国債ファンド(毎月分配型) 1,787 - -
ブラジル公社債ファンド 1,385 3.61% 21.2

※出所:モーニングスター
対象は国際債券・エマージング・単一国(F)、国際債券・短期債(F)のうちブラジルレアル建て債券に投資するファンド
純流出入の期間は2011年初から2012年10月末、1年リターン、分配金利回りは2012年10月末基準
ブラジル国債ファンド(毎月分配型)は設定から1年未満のため、1年リターンと分配金利回りの該当データなし

 また、純資金流入ランキングの上位5ファンドがすべて毎月分配型となっている点は注目されます。分配金利回りが20%を超えるファンドもありますが、リターンがそれに見合っていないことから元本の取り崩しで分配金を支払っているのが実態です。分配金利回りの高さだけで選ぶのではなく、運用成績が伴っているかもチェックした方がよいでしょう。

景気本格回復見えず、来年は利上げなしか

 実はブラジルの景気は本格的な回復の兆しがまだ見えていません。レアル相場を占ううえでは中銀の政策金利が最重要となり、13年の利上げが視野に入れば金利先高観からレアル買いが優勢になるとみられるものの、景気が上向いていないため実際にいつ利上げがあるかは不透明。中銀がエコノミストを対象に週次で行う調査では、13年末の政策金利予想は現状の7.25%で据え置かれる見込みです。

 同じ高金利通貨の豪ドルと比較してもレアルは対円で上値の重い展開となっています。輸出競争力を維持するために中銀が為替介入で通貨高を阻止するとの見方が強いこともあり、投資家はレアル買いを手控えている状況。レアル債ファンドに対しては当面、慎重な投資スタンスが必要と言えそうです。

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