ブロガー水瀬ケンイチの等身大投資コラム―インデックス投資の利益の源泉ってなに?

2012-08-31

インデックス投資の利益の源泉ってなに?それってリーマン・ショック後も大丈夫なの?

 はじめまして、水瀬ケンイチと申します。
 私は某IT企業に勤務するふつうの会社員です。仕事のかたわら、零細投資家として「インデックス投資」なる投資法を実践しています。その実践記を7年前から「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」というブログで公開しております。それが高じて2010年12月に「ほったらかし投資術 インデックス運用実践ガイド」(朝日新書)という本を経済評論家の山崎元氏と共著にて上梓する機会に恵まれました。

 ブログでも本でも、「投資が仕事でも趣味でもないふつうのサラリーマン」が資産形成するためにはどんな投資法がよいかを追求しています。様々な投資法を実際にやってみた結果、国内外の株式・債券のインデックスファンドを積立投資するという「インデックス投資」に行き着きました。
 このコラムでは、一インデックス投資家として研究・実践してきた内容を取り上げていきます。
 読んでくださっている皆さまの何かのご参考になれば幸いです。

***

部長「水瀬君、来年度の売上計画は今年度実績マイナス10%でいこう」
水瀬「えっマイナス!?いいんですか部長?」
部長「ああ、無理しないでいいんだよ」
水瀬「でも…」
部長「再来年はさらにマイナス20%、その次はマイナス30%でいこうじゃないか。ハッハッハ」

 会社で次年度の事業計画を立てていた春先、こんな夢を見ました。
 うちに帰っても仕事のことが頭から離れなくなるほど疲れていたようです。

 そんな忙しいサラリーマンにぴったりなのが「インデックス投資」なのですが、その利益の源泉は何かというと、ズバリ、「資本主義経済の長期的発展」です。

 インデックスと呼ばれる「市場平均」に投資するということは、市場に上場しているすべての銘柄に投資することとほぼ同意です。その「市場すべて」の価値が上昇するためには、経済全体が発展していくことが必要であり、資本主義経済の長期的発展の結果、インデックス投資はそのおこぼれにあずかれるであろうという考え方です(最近は市場平均ではないインデックスも出てきていますがここでは割愛)。

 しかしながら、足元を見るとどうも順風満帆とは言えなさそうです。
 特に、2008年9月のリーマン・ショックに端を発した世界金融危機以降、世間では資本主義経済に対する批判が強まっているように感じます。弱肉強食のマネー至上主義が国民の生活を脅かしている、環境を破壊している、モラルハザードを引き起こしているなど、様々な批判がなされて、新たな価値観ややり方が模索されているようです。それら各論としては正しいのかもしれません。

 しかし、より大局的な総論を捉えると、原則は1つです。
 資本主義経済は(質か量かはともかく)、発展し続けなければならないということです。逆に、これからも発展し続けるためにはどうすればよいのかという見地が、各論につながっているのだと思います。

 資本主義経済は長期的には自ずと発展する方向性を持っています。
 資本主義経済を牽引する主役は、いうまでもなく「企業」です。その企業は2つの本質的性質を持っていると考えられています。

 1つ目は、「永遠に存続しようとするもの」であるということです。
 企業は、いったんできてしまえば、存在し続けることが求められます。流行り廃りで、フレキシブルに作ったり潰したりできるものではありません。少なくとも上場企業では、たとえ主力事業を変えてでも、資本構成を変えてでも、場合によっては従業員を解雇してでも、企業活動自体は継続する社会的責任を負っています。

 2つ目は、「自ら成長しようとするもの」であるということです。
 経営者は、去年よりも今年、今年よりも来年と、さらに利益を伸ばしていくことを考えます。
 私たち社員も、より多くの給料を獲得するためには、企業に利益をもたらして出世しようとします。
 取引先や顧客も、「早く、安く、質もよく」と、常にさらなる改善を要求してきます。
 株主は一番ストレートです。企業に対して、「成長しろ、利益を出せ!」と直接要求をしてきます。

 こうした内的・外的要因から、企業は自ら成長しようとします。
 「なんだ、当たり前のことじゃないか」と思われるかもしれませんが、私はこれが最も重要な企業の性質だと思います。他の投資対象、例えば、土地、債券、貴金属、農作物、石油などは、自ら変化することはありません。すべての投資対象の中で、企業だけが自ら変化し得るのです。

 企業の本質的性質をまとめると、
(1) 企業は、永遠に存続しようとする
(2) 企業は、自ら成長しようとする

 もし、個々の企業が「永遠に存続し」「自ら成長しようとする」ものだとすれば、企業の集合体である市場、ひいては資本主義経済が長期的に発展していく方向性を持っているという話にも合点がいくのではないでしょうか。市場全体に投資するインデックス投資にも期待が持てます。

 すこし壮大な話になってしまったので、いまいちピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。
 そういう時には、ご自身の勤務先のことを思い出してみてください。

 冒頭で告白した私の馬鹿な夢のように、自分の勤務先が毎年、前年比マイナスの事業計画を立て続ける。利益拡大を目指さない。また、求められもしない……。
 そんな時代が本当に来たら、おそらくインデックス投資はおしまいです。

 しかしながら、実際の勤務先は、そうではないでしょう。
 この厳しい経済情勢の中にあってなお、「そんな無茶な」と思うくらい、毎月毎月、売上高あるいは利益の「対前年比増加」を目指してはいないでしょうか。実績が対前年比でマイナスになろうものなら、その原因を洗い出して対策を求められる。そんなことの繰り返しではありませんか?

 それこそが、企業が「永遠に存続し」「自ら成長しようとする」証拠です。
 長期的にはインデックス投資の未来は明るいのではないでしょうか。

 ※インデックス投資の具体的方法が知りたいかたは、こちらの記事にまとめてあります。ご興味があればどうぞ。

水瀬ケンイチ
1973年東京都生まれ。都内IT企業勤務。
インデックス投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」を執筆、人気を博す。日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。著書に『ほったらかし投資術インデックス運用実践ガイド』(朝日新書)。 
(写真はTwitter @minasekのアイコン)

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