ブロガー水瀬ケンイチの等身大投資コラム―もし消費税がアップしたら、投資信託・ETFのコストはどうなるの?

2012-12-14

 消費税増税のお話が、だいぶ現実味を帯びてきたように見えます。まだどうなるかは分かりませんが、もしもの時に備えて覚悟はしておいた方がいいかもしれません。そこで、消費税増税によって投資信託・ETF(上場投資信託)のコストにどう影響するか、押さえておきたいと思います。

 基本的に、「高コスト商品ほど消費税増税の影響が大きくなる」と覚えておけば、よろしいかと思います。

 具体的に見てみましょう。
 投資信託・ETFにかかる主なコストには、(1)販売手数料(ETFの場合は売買手数料)、(2)信託報酬、(3)信託財産留保額があります。
 厳密には、信託財産留保額はコストではなく、他の投資家のための解約ペナルティで、ファンドに戻り投資家同士で共有するお金ですが、支出という面ではここではコストと同等と捉えて説明します。

 まず、(3)の信託財産留保額ですが、上記のとおり、事業者が対価を得て行なう取引ではないので消費税がかかりません。ですので、(3)の信託財産留保額は消費税増税の影響もありません。問題は、(1)の販売手数料(売買手数料)と、(2)の信託報酬ということになります。

 (1)の販売手数料(売買手数料)は、一時的にかかるコストであり、投資信託・ETFの長期保有により年率のコスト負担を薄められます。ノーロード(販売手数料0%)の商品であれば、消費税もかかりません。ですので、消費税増税の影響は比較的小さいと考えられます(もちろん、短期売買を繰り返せばその限りではありませんが)。

 それに対して、(2)の信託報酬は、投資信託・ETFを保有している限り継続的にかかるコストであり、長期保有でも年率のコスト負担を薄められません。ですので、影響が比較的大きいと考えられます。そして、信託報酬は高ければ高いほど消費税増税の影響も大きくなります。例として、消費税が5%から10%に上がった場合どうなるのか、実際に私が保有している投資信託・ETFで見てみます(2012年12月12日現在)。

・TOPIX連動型上場投資信託(証券コード 1306)
 信託報酬 年率0.1155% → 年率0.121%(値上がり幅 年率0.0055%)
・MHAM株式オープン
 信託報酬 年率0.7875% → 年率0.8250%(値上がり幅 年率0.0375%)
・DIAM 中国関連株オープン
 信託報酬 年率1.68% → 年率1.76%(値上がり幅 年率0.08%)

 当たり前といえば当たり前ですが、高コスト商品ほど「値上がり幅」が大きいのが分かります。信託報酬が年率0.08%上がるということは、その上がった分のコストでもう1人ファンドマネージャーが雇える(もう1本ETFが保有できる)レベルのコストアップです。この消費税増税による値上がり幅は、その分確実に投資信託・ETFのパフォーマンスを押し下げます。税金が上がったからといって、ファンドマネージャーの運用が上手くなるわけではありませんので。

 今後20年、30年先を考えると、もしかしたら段階的にさらに消費税が上がるかもしれません。その場合は、高コスト商品ほど、さらにパフォーマンスを押し下げられることになります。世の中には、「高コストでもそれに見合うパフォーマンスをあげていればよい」という考え方もありますが、消費税が上がれば上がるほど、この手の高コスト商品は苦しくなっていくはずです。

 それに対して、低コスト商品は、将来の消費税増税に対する抵抗力も強く、頼りになるというお話でした。

* * *

 ここで、少しだけイイお話も。上記記事でのETFは「国内ETF」を指していますが、「海外ETF」の信託報酬はどうなのでしょうか?
 私が主力投資商品として投資しているIVV・EFA・VWOといった海外ETFは、信託報酬(厳密にはエクスペンス・レシオ)に日本の消費税はかかりませんので、消費税増税の「影響なし」です。

水瀬ケンイチ
1973年東京都生まれ。都内IT企業勤務。
インデックス投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」を執筆、人気を博す。日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。著書に『ほったらかし投資術インデックス運用実践ガイド』(朝日新書)。 
(写真はTwitter @minasekのアイコン)

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