ブロガー水瀬ケンイチの等身大投資コラム―いろいろな投資法のよい試し方、悪い試し方

2013-05-31

 市場が乱高下しています。これをご覧の皆さまの中にも、自分の投資法に疑問を抱いたり、他の投資法を試してみたくなったりしているかたがいらっしゃるかもしれません。

 私も今でこそインデックス投資家ですが、インデックス投資にたどり着くまでには、個別株投資(チャートによるテクニカル分析やバリュー投資)やFX、eワラント等、いろいろな投資をやってきました。特に若いかたは、自分の投資法が確立するまで、いろいろな投資法を試してみることはよいことだと思います。幅広い投資知識を得る意味でも、適性を知るという意味でも。

 そこで、私が市場に高い授業料を払って経験した、いろいろな投資法のよい試し方と悪い試し方をまとめておきます。

≪いろいろな投資法のよい試し方・悪い試し方≫

(1)試す投資法の数
 ○ ひとつずつ投資法を試す
 × 並行して複数の投資法を試す

(2)試す投資法の変更方法
 ○ 期間を区切って試す投資法を変える
 × 気分によって試す投資法を変える

(3)試す投資法の比較方法
 ○ インデックスと比較する
 × 試した投資法どうしで比較する

 

(1)試す投資法の数について

 まず、効果測定の基本ですが、同時にいろいろな施策を行なうと、成果に対してどれがどのくらい効果を上げたのかよく分からなくなってしまいます。

 また、異なる投資法は、それぞれ求められる「頭の筋肉」が違います。
 運動において、短距離走に求められるのは瞬発力(速筋)と、長距離走に求められるのは持久力(遅筋)とで違います。投資においても、デイトレに求められるは瞬時の判断力であったり、バリュー投資に求められるのは粘り強い分析力であったりします。

 並行して異なる投資法を試すと、どうしても頭が混乱して、それぞれの投資法が満足に試せなくなりがちです。 ひとつずつ投資法を試すのがよいと思います。

(2)試す投資法の変更方法について

 投資の世界には「感情の罠」というものが存在します。
 行動ファイナンスで明らかになってきたとおり、私たち人間には共通して持っている「心の癖」があります。例えば、プロスペクト理論によると、人は感情のままにトレードすると「利小損大」になりがちということが分かっています。

 同じことが、試す投資法の変更方法にも影響します。
 つまり、儲かっている時にはすぐに利益確定したくなるので短期投資的になり、損している時には損失を確定したくないので長期投資的になったりします。

 あらかじめ3ヶ月なら3ヶ月、1年なら1年とお試し期間を決めておいて、その期間内で投資法を試すことが、適正な比較につながります。

(3)試す投資法の比較方法について

 これは上記(1)(2)にも関係するのですが、期間を区切ってひとつずつ投資法を試すことになれば、自ずと、試した投資法の時期が異なることになります。
時期が違えば当然相場の状況も違うので、実績を比較してもあまり意味はありません。

 同じお試し期間内のインデックス(例えば、TOPIXとかMSCI全世界指数など)の実績と比較して、何%上回ったとか下回ったとかで評価するとよいでしょう。

 インデックスへの投資は、インデックスファンドのバイ&ホールドという「最も手間がかからない投資法」でもあり、試してみる投資法との「手間」の比較もできて一石二鳥です。

 以上、「いろいろな投資法のよい試し方・悪い試し方」をまとめてみました。

 最後に、ひとつだけアドバイスするならば、世の中に「必ず儲かる投資法」などというものは存在しないので、「どれがマシか」「どれが自分に合うか」という観点で、いろいろ試してみてください。

 これから投資を始めようというかたの何かのお役に立てば幸いです。

水瀬ケンイチ
1973年東京都生まれ。都内IT企業勤務。
インデックス投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」を執筆、人気を博す。日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。著書に『ほったらかし投資術インデックス運用実践ガイド』(朝日新書)。 
(写真はTwitter @minasekのアイコン)

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