ブロガー水瀬ケンイチの等身大投資コラム―あなたはこれを見ても現物不動産に集中投資できますか?

2013-10-04

 まずはこちらのウェブサイトに掲載されている世界地図を見てください。この緑色の光がなんだか分かるでしょうか?
 これは、1898年から発生した地震をまとめた世界地図です。地震は自然現象であり、いつどこで起こるのか、なかなか分かりません。しかし、100年以上地震をプロットし続けると、明らかに地震が多い地域が浮かび上がってきます。

 もはや日本はどこにあるのか?という感じですが、画像中央から左上辺りの太い光の帯に隠れてしまっています。この光の帯は日本を通り、フィリピンやインドネシアあたりを縦断し、一方はタイ・マレーシア沖へ、もう一方はミクロネシア・ニュージーランドへとつながっています。

 一方で、米国や豪州では、光の点はあまりありません。よく、外資系企業の日本支社に来た屈強な米国人上司が、震度3くらいの地震で「オーマイガーッ!!」とパニクるという話を聞きますが、この世界地図を見ればさもありなんというのがわかります。

 ここで少し不動産投資の話をしたいと思います。

 私は日本の不動産投資に積極的になれません。なぜなら、地震による被害がこわいからです。「保有資産の価値が一発でダメになるリスク」がこわすぎます。2011年の未曾有の大震災を見てしまったので、一段とその思いが強くなっています。

 特に、マンション等の実物不動産への投資には腰が引けます。実物不動産を購入するのには、大きな資金が必要だからです。現在の私の保有資産額では、保有資産比率のほとんどが現物不動産に集中することになってしまいます。借金をして現物不動産を購入したりすると、なおさらです。

 海外であっても、実物不動産への投資には腰が引けます。最近、フィリピンのマンション投資視察ツアーの情報を見かけましたが、上記世界地図を見れば、「なぜよりによってフィリピン!?」と思ってしまいます。

 先ほど私は、不動産投資に積極的になれない理由として、「保有資産の価値が一発でダメになるリスク」と言いました。ただこれは、株式投資にも同様のことが言えます。たとえ大企業であっても、突然倒産して株価がゼロになるリスクはあるのですから。

 「保有資産の価値が一発でダメになるリスク」を回避するには、「分散」が有効です。「TOPIX」や「MSCI コクサイ・インデックス」などの平均株価のインデックスに投資すれば、数百〜数千の銘柄に投資することになり、このリスクは限りなく低くすることができます。

 もし、どうしても不動産投資をしたいのであれば、不動産も分散するべきです。私なら「REIT」に投資します。

 REITとは、Real Estate Investment Trust の略で、不動産投資信託のことです。これは、多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品です。つまり、分散が効いています。

 そして、日本の不動産に投資する「J−REIT」だけでなく、世界中の不動産に投資する「G−REIT」にも分散するでしょう。

 さらに、「東証REIT指数」「S&P グローバルREIT指数」など、たくさんのREIT銘柄の平均を表すインデックスもあり、こういったインデックスに連動するインデックスファンド・ETFに投資すれば、さらなる分散が図れます。投資に必要な金額は、ものによって違いますが、1万円から数十万円程度で済むので、保有資産のごく一部で投資できるでしょう。

 もちろん、すべての人にとって現物不動産投資がだめだと言っているわけではありません。分散によりリスクが小さくなれば期待リターンも小さくなり、旨みは減ってしまうでしょう。

 ただ、私のような弱小個人投資家にとって、「一発退場」になることは、最も避けなければならない事態です。やっぱり、実物不動産への集中投資には腰が引けます。

 ……世界地図の光の帯を眺めながら、そんなことを考えました。あなたはそれでも、現物不動産に集中投資できますか?

水瀬ケンイチ
1973年東京都生まれ。都内IT企業勤務。
インデックス投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」を執筆、人気を博す。日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。著書に『ほったらかし投資術インデックス運用実践ガイド』(朝日新書)。 
(写真はTwitter @minasekのアイコン)

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