ブロガー水瀬ケンイチの等身大投資コラム―日本債券インデックスに忍び寄る影とその対策

2013-11-01

 日本債券をどのくらいの割合で保有しているかは、自分が投資しているポートフォリオ全体のリターンとリスクに、大きな影響を与えます。

 自分のリスク許容度の範囲内に、ポートフォリオのリスク水準をおさめるという「重要目的」のためには、日本債券の割合が「肝」と言っても過言ではないかもしれません。

 しかし、その日本債券に無視できない問題が起こりつつあります。

(出典:モーニングスター)

 

 上記グラフは、日本債券クラスの代表的インデックスである「NOMURA−BPI総合指数」とその「デュレーション」の推移です。

 デュレーションとは、「債券投資で元本を回収するまでに必要な平均残存期間のこと。また、金利が変動した場合、債券価格がどの程度変化するかを表す指標の一種。この値が大きいほど金利の変動による債券価格の変動率が大きくなる」(大辞泉より)というもの。

 グラフを見ると、日本債券インデックスのデュレーションは、どんどん長期化してきています。この10年間で、20年国債とか40年国債といった超長期国債が大量発行されるようになったことが背景と言われています。

 先ほどの用語説明のとおり、デュレーションが長いほど、金利変動による債券価格の変動率も大きくなるので、つまり日本債券のリスク(ボラティリティ)が上昇するということになります。

 ただし、今のところ、長らく続く政府日銀の超低金利政策により、金利自体は低位安定しているため、実際の債券価格変動リスクも低位安定しています。

 しかしながら、年々デュレーションが長期化してきているのにリスクがずっと低いままというのは、真に安定している状態とは言えません。将来、いざ金利が動いた時に、一気に吹き上がる「マグマを溜め込み中」とでも言いましょうか。

 ポートフォリオのリスクを抑える役割を担っている日本債券インデックスのリスクが、大きく上がってしまったら、ポートフォリオ全体のリスクまで大きく変わってしまいます。

 将来、マグマが吹き上がるかどうか分かりませんが、もし吹き上がった時に、致命的なダメージを受けてしまわないよう、今から備えておきたいと思うのは自然なことです。いったいどうすればよいのでしょうか?

 対策案を列挙しておきます。

≪対策案その1≫ 自分でラダー型債券ポートフォリオを組む

 野村證券が作る「NOMURA−BPI総合指数」のデュレーションが勝手に変わってしまうのなら、自分で作ってしまえばいいじゃないか、という発想です。

 ラダー型債券ポートフォリオというのは、債券の各年限がほぼ均等な割合になるように組み合わせることです。具体的には、残存期間が1年の債券に1万円、2年の債券に1万円、3年の債券に1万円……10年の債券に1万円、と並べていく方法です。

 具体的なやり方は、毎年、10年債等を同じ金額ずつ買っていけばいいだけ。あとは満期まで保有すれば(そして10年で1周すれば)、デュレーションは固定されるでしょう。

≪対策案その2≫ デュレーションを短期で固定

 デュレーション水準ごとの中期債、長期債の個人向けインデックス商品はありませんが、短期債だけに投資する商品ならあります。ご存知「MMF」もしくは「MRF」です。将来の金利上昇を予測する向きにはぴったりでしょう。機を見て、いつでも中長期債に乗り換えることができる機動性も魅力です。

≪対策案その3≫ 債券価格変動を回避

 債券価格変動を回避。そんなことできるのか?と思われるかもしれませんが、債券価格が変動しない債券があります。それが、個人向け国債(変動10・固定5・固定3)です。

 個人向け国債は、途中売却する場合も、過去2回分の利子等を手放せば、金利動向にかかわらず購入した時の価格で売却することが可能です。

≪対策案その4≫ 当面、日本債券インデックスファンドのまま放っておく

 将来、リスクが急上昇したとしても、新興国株式と同じレベルになってしまうわけではないかもしれません。細かいことで大騒ぎせず、債券という原資産の本質を重視してそのままにしておくのもひとつの知見です。

 何年かごとに、直近のデータでポートフォリオ全体のリスクを計算しなおせばいいという考え方です。

≪番外編≫

 米国のように短期債・中期債・長期債それぞれのETFやインデックスファンドがあれば、お好みのデュレーション水準で投資できます。日本の運用会社に作ってもらえるように、直接要望することも有効かもしれません。そもそも、日本の債券インデックス商品は、ラインナップが貧弱すぎるのです。

 以上、方法はいろいろありそうです。どの方法がよいか、あるいは他の方法もあるのではないかなど、考えてみる価値はあると思います。なんといっても、日本債券がポートフォリオの「肝」なのですから。

水瀬ケンイチ
1973年東京都生まれ。都内IT企業勤務。
インデックス投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」を執筆、人気を博す。日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。著書に『ほったらかし投資術インデックス運用実践ガイド』(朝日新書)。 
(写真はTwitter @minasekのアイコン)

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