ブロガー水瀬ケンイチの等身大投資コラム―定年延長のため給料下がる、その時、上の世代と下の世代の間には……

2013-12-29

 企業に65歳までの雇用を義務付ける改正高年齢者雇用安定法が、2013年4月1日にスタートしました。報道によれば、サントリーや大和ハウスなど、定年を65歳に延長する企業が増えてきました。

 私の勤務先もご多分に漏れず、定年が65歳まで延長になりました。同時に、社員の給料が下がるようです。

 どうやら会社の言い分は、「定年が伸びても人件費の総額は増やせない」の一点張りで、結局、大枠で下の世代の給料を下げて、浮いた分を60歳からの5年間の人件費に回すという、何の努力も工夫もない形になったようです。

 今まで、業績悪化のため給料が下がることはあっても、定年延長のため給料が下がるというのは、初めての体験です。しかも、今後、更なる定年延長のための、給料再引き下げもありえなくはない情勢です。一応、経過措置もある人にはあるようなのですが、高齢化社会を実感する世知辛い世の中になってきました。

 今回の給料引き下げについて、まわりの社員たちはどう思っているのか、職場で聞いてみました。

 私は現在40代で、ちょうど中間くらいの年代です。私よりも上の世代は、
 「60歳以降、年金支給までどうしようかと思っていたので助かる」
 「君たちもいずれ60歳になるんだから、別に損な話じゃないだろう」

 というどちらかといえば肯定的なコメントでした。一方、下の世代は、
 「定年まで同じ会社で働く時代じゃない。明らかに若手にしわ寄せ」
 「労働力が多少なりとも増えるのに人件費総額が同じとか、どう考えてもおかしい」

 という否定的なコメントでした。なかには、
 「昔からむしり取られるばかりで慣れてますから……」
 と消え入りそうな声で答えた、あきらめムードの草食系男子もいました。

 個人が一生の間に国に支払う額と国から受け取る額を、世代別に推計した「世代会計」によると、60代以上の高齢世代は1,300万円のプラスに対して、20代は4,100万円のマイナス、加えて将来世代は6,200万円のマイナスというように、大きな差があるというデータがあります。(出典:みずほ総合研究所「国民負担の世代間格差と税・社会保障一体改革」)

 本件に限りませんが、同じ事象でも世代によって受け取り方に大きな違いがあり、世代の間には「深くて暗い川」が流れているようです。特に、若年世代の不満は大きなものがあります。

 さて、本件について、個人的にはどう考えているのか。良くも悪くも、少子高齢化は日本社会の大きな潮流なので、これに逆らって泳ぐのはなかなかしんどそうです。とはいえ、何もせずただジリ貧になっていくのも面白くない。

 ではどうするか。収入をひとつの会社からの給料だけに頼るのではなく、投資なり副業なり、複数の「稼ぐ手段」を作ることで、少子高齢化という潮流に伴うリスクを分散したいと考えています。

水瀬ケンイチ
1973年東京都生まれ。都内IT企業勤務。
インデックス投資ブログ「梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)」を執筆、人気を博す。日本経済新聞やマネー誌などに数多く取り上げられる。著書に『ほったらかし投資術インデックス運用実践ガイド』(朝日新書)。 
(写真はTwitter @minasekのアイコン)

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